貿易取引では、貿易にかかる費用やリスクの負担について取り決めをする必要があります。国際的な取り決められたものが国際商業会議所が定めた貿易条件で、インコタームズと呼ばれます。何度も改訂を繰り返し、2024年5月現在の最新版は2020年に発行されたインコタームズ2020です。
この記事ではインコタームズ2020で定められている規則をそれぞれ紹介していきたいと思います。
目次
1.インコタームズ2020の内容 2.EXW(工場渡し) 3.FCA (運送人渡し) 4.CPT (輸送費込み) 5.CIP (輸送費保険料込み) 6.DAP(仕向地持込渡し) 7.DPU(荷卸込持込渡し) 8.DDP(関税込持込渡し) 9.FAS (船側渡し) 10.FOB (本船渡し) 11.CFR (運賃込み) 12.CIF (運賃保険料込み) 13.まとめ1.インコタームズ2020の内容
インコタームズ2020では「いかなる単数または複数の運送手段にも適した規則」と「海上および内陸水路輸送のための規則」の2クラスに分類されています。2クラス合わせて11の規則からなり、危険負担と費用負担を買主と売主がどの時点まで負うべきかが定められています。
(1)いかなる単数または複数の運送手段にも適した規則
・EXW (Ex Works) : 工場渡し
・FCA (Free Carrier) : 運送人渡し
・CPT (Carriage Paid To) : 輸送費込み
・CIP (Carriage and Insurance Paid To) :輸送費保険料込み
・DAP(Delivered at Place) :仕向地持込渡し
・DPU(Delivered at Place Unloaded) : 荷卸込持込渡し
・DDP(Delivered Duty Paid) : 関税込持込渡し
(2)海上および内陸水路輸送のための規則
・FAS (Free alongside Ship) : 船側渡し
・FOB (Free on Board) : 本船渡し
・CFR (Cost and Freight) : 運賃込み
・CIF (Cost Insurance and Freight) :運賃保険料込み
2.EXW(工場渡し)
売主が引き渡し場所を指定し、買主に商品を引き渡した時点から買主にコスト負担・危険負担を負うことになります。つまり売主は商品梱包費と引き渡し場所までの輸送コストまでは負担することになりますが、買主はそれ以降の港までの輸送コストや積み込みコストなどを負担することになります。
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3.FCA (運送人渡し)
FCA (運送人渡し)では、売主は運送人に引き渡すまでのリスク・コストを負担します。引き渡し場所が売主の敷地内の場合には輸送費はすべて買主が負担するということになりますが、買主が指定した別の届け先で受け渡す場合にはそれまでの輸送費は売主が負担します。
4.CPT (輸送費込み)
CPT (輸送費込み)の場合、売主はFCAと同様の負担に加えて運送業者の手配・配送料の負担をします。リスクはFCAと同様に運送業者までの負担になります。
5.CIP (輸送費保険料込み)
CIP (輸送費保険料込み)では、売主はFCAと同様の負担に加えて運送業者の手配・配送料の負担、保険料の負担もします。買主が指定した運送業者への商品が受け渡らされるとリスクも買主に映ります。売主は目的地までの送料を負担しますが、輸入税や関税など一部売主が責任を負わない費用があります。
6.DAP(仕向地持込渡し)
DAP(仕向地持込渡し) では、売主は合意した場所までの輸送コスト・リスクを負担します。売主の負担はその場所に到着して荷下ろし準備が完了する時点までとなるので、荷下ろし作業以降のコスト・リスク負担は買主側に発生します。
7.DPU(荷卸込持込渡し)
DPU(荷卸込持込渡し)では、売主は合意した場所までの輸送コスト・リスクを負担します。荷下ろし場所に商品を荷降ろしを完了させるまでが売主の責任となります。そのため荷下ろし中の商品破損は売主の責任となります。
8.DDP(関税込持込渡し)
DDP(関税込持込渡し)では合意した場所に商品を配送するまでのほぼ全てのコストとリスクを負います。輸出入の通関業務の手配と費用負担、関税支払いも売主の負担となります。合意した場所で荷下ろしの準備が完了したところでリスクは買主に移るため荷下ろし作業の責任は買主が負います。
9.FAS (船側渡し)
FAS (船側渡し)では商品が船の隣に配達されるまでは売主がコスト・リスクを負担します。その後は買主がコスト・危険負担を引き継ぎます。よって輸出の手続きも買主が行います。
10.FOB (本船渡し)
FOB (本船渡し)は商品が船内に積み込まれるまでは売主がコスト・リスクを負担します。FOBはFASと違い輸出手続きを売主が行います。その後は買主がコスト・リスクを負担します。
11.CFR (運賃込み)
CFR (運賃込み)では、売主は商品が輸入港に到達するまでのコスト負担、船を積み込むまでのリスク責任を負います。危険負担の面ではFOBと同様ですが、輸入港に到達するまでのコスト負担を売主が負う点が異なります。
12.CIF (運賃保険料込み)
CIF (運賃保険料込み)の場合、売主はCFRと同様の義務に加えて保険料も負担します。つまり、売主は危険負担は輸出手続きをして商品を船に積み込むまで、コスト負担は輸入港までの輸送費などに加えて保険料の負担もします。請求書の価値の価値の110%以上を保証する保険の購入が義務付けられています。
13.まとめ
11個のインコタームズ2020の規則を簡単に紹介しました。
売主から買主にリスクとコスト責任が移るタイミングがずれている規則もある点が理解しにくくしているように思います。
リスクとコスト責任が移るタイミングがずれている規則は基本的に他の規則から派生しています。CFRでは、売主はFOBの場合の責任に加えて運賃の負担義務が追加されます。CIFは、売主はFOBの場合の責任に加えて運賃・保険料の負担義務が追加されます。
CPT・CPTも責任の移るタイミングがずれていますが、これらもFCAからの派生と捉えると理解しやすいかもしれません。
参考資料
・ジェトロ貿易・投資Q&A「インコタームズ2020」(閲覧:2024/5/9)
・西濃運輸「インコタームズ2020」(閲覧:2024/5/9)